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補色とは?

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1.補色とは?

「色相環(カラーホイール)でちょうど向かい合う位置にある一組の色」のことです。

色相環とは下記図1のように赤・橙・黄・緑・青・紫などの色を円形に並べた図です。

この円で、ある色のちょうど反対側にある色がその色の補色になります。例として、赤と緑、青と橙、黄と紫などがよく挙げられます。

混ぜ合わせると、灰色や黒などの無彩色に近づく性質があります。

色相環 カラーホイール

2.補色の必要性

オリヱント化学工業は、染料製造の化学メーカーであり、補色に関するお問い合わせはユーザーより多数あります。

印刷、塗料、樹脂着色などの色材を扱う業界において補色は“色”を精密に制御し、機能や品質を高めるための重要因子として使われています。

下記に補色の必要性に関する一例を示します。

(1).黒色度向上

筆記具、樹脂、繊維、フィルムなどの着色用途で、より黒色度向上を目指す際は、主色に補色を添加させる技術を使います。

例えば、塗料用途では、目的の色味やグレー調を得るために色材同士を混合し、彩度や色合いを微調整します。

(2).特定波長吸収

液晶ディスプレイでは、ある波長域の光を吸収する色素に、その補色を加えて吸収を制御することで、コントラストや視認性を高めます。

モノクロ液晶では、背景色の補色を吸収する染料を加えることで、文字と背景の明暗差を強め、読みやすさを向上させる手法が使われています。

​(3).品質保証・カラーマネジメント

 色差管理(ΔE)や色評価では、L*a*b*などの色空間上で、色を数値として表します。この数値から基準色に対してズレがどの程度かを把握し、基準色の数値に近づけるために補色のうちどの色成分を増減すべきかを判断します。これにより、異なる原料ロット・設備・条件でも、最終製品の色を安定させることができ、ブランドカラーや製品規格の維持につながります。たとえば、黄色が少し赤寄りに出た場合、補色関係にある青緑寄りの成分を加えることで赤色成分を打ち消して鮮やかな黄色を得ることが出来ます。

 耐候性・耐熱性などの物性を満たす色材が限られる場合、主色+補色の組み合わせで不足する色成分を補い、蛍光色・高彩度色・ニュートラル色などをつくります。

​ このように、化学業界では「見た目のデザイン要素」としてだけでなく、黒色度向上、特定波長吸収、品質管理などで補色の概念が基礎として必要とされています。

補色の必要性

3.黒色度向上

 筆記具、樹脂、繊維、フィルムなどの着色用途では、黒色度をさらに向上させたいという強い要望が業界から多数寄せられており、特に補色に関する技術的なお問い合わせがあります。

 黒色度を効果的に高める主な手法は、染料や顔料の配合により反射スペクトルをフラット化することです。

このアプローチでは、単一色素の吸収ピークによる波長依存の谷を解消し、これによって可視光全域(約400-700nm)で均一な低反射を実現します。

 具体的には、補色(色相環の反対色、例: 青と橙、緑と赤)を最適比率で混合・添加することで、特定の波長吸収を補完し、可視光全域の吸収率を大幅に向上させます。

 これにより、黒色度向上が達成でき、光学濃度(OD)を高め、600-850nm範囲でもOD5レベルの高遮光性能を発揮します。

4.特許出願

次に、補色色材を用いて黒色度を向上させていく特許出願をいくつか紹介します。

(1) インクジェット用途 黒色染料+補色染料の組み合わせ 

特開2006-225557

発明の名称:黒色水性インク組成物、それを用いたインクジェット記録方法および記録物

出願人:セイコーエプソン株式会社

水、親水性有機溶剤を用いたインクにおいて、特定構造の黒染料に加え、「補色染料」として少なくとも C.I. Direct Brown 195 を含む水性黒インク組成が開示されています。

普通紙を含む各種媒体で十分な発色濃度と良好な黒色相を確保しつつ、更に目詰まりが少なくて、しかも耐光性、耐オゾン性がよく保存安定性に優れていることを目的とし、黒染料と補色染料の配合比率や濃度範囲を規定することで黒色度(黒らしさ・深さ)を高めています。

 

(2) インクジェット用途 黒色顔料+補色顔料の組み合わせ 

特開2008-208344

発明の名称:インクジェットインク及びインクジェット記録装置

出願人:エスアイアイ・プリンテック株式会社

溶剤系黒インク中の顔料成分として「黒顔料70〜90 wt%+シアン顔料10〜30 wt%」を併用し、屋外用途でより深い高濃度ブラックを実現することを狙った技術です。黒とシアン(補色寄りの成分)を混在させることで、色再現性と黒濃度を両立させ、かつ顔料分散量増加に伴うノズル目詰まりを抑制する点が特徴です。

(3) カラーフィルター用途 特定構造の有機顔料(アゾ系・縮合多環系など)の組み合わせ

特開2006-225557

発明の名称:顔料、それを用いた顔料組成物、着色組成物、およびカラーフィルタ

出願人:富士フイルム株式会社

特定構造の有機顔料(アゾ系・縮合多環系など)を用い、可視域全体にわたりニュートラルな黒を得ることを目的としたカラーフィルタ用黒顔料。

単独顔料だけでなく、吸収スペクトルが異なる顔料とのブレンドによって、赤み・青み・黄みを相殺し、“真の黒”に近い発色を狙う設計技術が開示されています。​

 

(4) テキスタイル用インク 黒染料+青染料+赤染料の組み合わせ

特許第6810360号

発明の名称:インク、捺染方法及びテキスタイル用インク剤

出願人:JSR株式会社

黒染料に加え、特定の青系・赤系染料の組み合わせを用いることで、布上での黒の見えが「より深く、漆黒に近い」黒になるよう設計されており、高い黒濃度と堅牢性を得ることを目的とするインクです。

次に以下(5)、(6)の特許出願はオリヱント化学工業製の着色剤を補色関係で混合し、黒色度を向上させることが示唆される特許出願を紹介します。

一例をあげると、単一の黒だけではわずかに赤っぽい/緑っぽい等の色味が残り、その色ズレを打ち消す補色系の染料(シアン、マゼンタ、バイオレット、イエローなど)を複数混合し、黒色度を向上させることが示唆される特許出願です。

(5) ボールペンインキ 黒染料+紫染料の組み合わせ

特開2003-64290

発明の名称:ボールペン用油性インキ

出願人:ゼブラ株式会社

着色剤、樹脂、有機溶剤に加えて、ベンゾトリアゾール誘導体を含有することで、長時間の筆記後でも軽い書き味を維持しつつ、インクの吐出を一定かつ安定に確保できるボールペン用油性インキです。

着色剤として、油溶性黒色染料(商品名:バリファーストブラック#1805、オリエント化学工業株式会社製)、油溶性紫色染料(商品名:バリファーストバイオレット#1701、オリエント化学工業株式会社製)を配合した実施例が記載されています。

(6) ボールペンインキ 

特開2022-154494

発明の名称:油性ボールペン用インク組成物及び油性ボールペン

出願人:ゼブラ株式会社

水溶性有機溶剤を含む有機溶剤、樹脂、着色剤、水を含み、インク中の水の含有割合が3〜10質量%であり、樹脂として少なくともケトン樹脂およびマレイン樹脂の少なくとも一方を含み、25℃・せん断速度7.5/s における粘度が700 mPa·s未満であるように構成することで、低粘度でもインク吐出量が安定し、水を含んでいてもインクの乳化が抑えられる油性ボールペン用インクです。

着色剤として以下の染料や顔料を組み合わせた実施例が記載されています。
(染料)
VALIFAST VIOLET 10(商品名、オリヱント化学工業株式会社製)
VALIFAST BLACK 3830(商品名、オリヱント化学工業株式会社製)
VALIFAST RED 3311(商品名、オリヱント化学工業株式会社製)
VALIFAST RED 1308(商品名、オリヱント化学工業株式会社製)
OIL YELLOW 107(商品名、オリヱント化学工業株式会社製)
(顔料)
カーボンブラック(Pigment Black 7)
有機顔料(Pigment Red 254)

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5.まとめ

 以上のように補色は単なる「見た目」だけでなく、材料設計やプロセス制御に深く関わる基礎概念として位置づけられています。具体的には、染料、顔料を配合させることで①~③の効果があり、化学や材料分野全体を支える重要なコンセプトになっています。

①黒色度を向上させる。

②機能性材料における特定波長を選択的に吸収(遮光・UVカット・近赤外線吸収など)させる。

③分光特性や色差値に基づく品質管理・ロット間バラツキをなくす。

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