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​ニグロシンのご紹介

※ニグロシン製品の少量サンプルご希望の方は下記URLよりご購入頂けます。是非、この機会にご利用下さい。

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ニグロシンは西暦1867年に発見され、1931年にオリヱント化学工業(株)の前身である合弁会社オリヱント商会で製造を開始した歴史ある色材です。身近なものにも使用されている材料であるため、もしかしたら皆様も日ごろの生活で目にているかもしれません。

ニグロシンはアジン骨格を有する黒色染料であり、黒色顔料として有名なカーボンブラックの次に廉価な黒色色材です。染料であるため溶解させることが可能で、カーボンブラックでは実現できない電気絶縁性や帯電性が求められる分野で利用されることも多い材料です。また、一般的な染料と比較して耐候性や耐熱性が高いことも特徴の一つです。


このようなカーボンブラックや他染料にはない特性を活かして、筆記具用色素や樹脂用着色材として利用いただいています。もちろん、それだけでなく靴クリーム・インクジェットプリンター・塗料・ファブリックインクリボンやトナー用の荷電制御剤(CCA)など様々な用途で広く使用される実績もあります。

下表には弊社の製品情報のページからニグロシンまたはニグロシンを含む製品を抜粋しました。ニグロシンはカラーインデックスの分類ではソルベント ブラック 5(C.I. Solvent Black 5)と、ソルベント ブラック 7(C.I. Solvent Black 7)、アシッド ブラック 2(C.I. Acid Black 2)の3つに該当する染料で、他材料と混合した製品もあります。それぞれ性質が異なるニグロシンを製品としてラインナップしていますので、用途例なども参考に要望に沿ったニグロシンを選んでいただくことができます。

オリヱント化学工業のニグロシン製品ラインナップ

さらに、ニグロシンの特性の一つとして、一部の樹脂にも溶解することが知られています。特にポリアミドのような親和性の高い結晶性樹脂に添加した際には、樹脂に結晶化遅延効果を付与するというニグロシンにしか発見されていない効果が確認されています。この結晶化遅延効果により、成形された樹脂製品の意匠性が向上する点も評価いただいている要素の一つです。

弊社はニグロシンの世界トップシェアを誇っていますが、ニグロシンの製造時において廃棄物の削減や資源の再利用など持続可能で環境に配慮した生産方法を採用しています。さらに、積み重ねた製造技術によって変異原性や生殖毒性が陰性である安全性の高い製品を生産しています。


インク着色用ニグロシンの開発で培った極性溶媒系への可溶型ニグロシンの知見や、高融点熱可塑性樹脂の加工温度に耐えることができる高耐熱ニグロシン『NUBIAN® BLACK TH-857』、さらに染料系黒色色材の適用が困難であったオレフィン系熱可塑性樹脂に適応したニグロシン『special BLACK EB』も保有しています。皆様が直面されている技術的課題の解決につながる糸口を見つけ出せるかもしれません。
もし、ニグロシンに興味をお持ちいただけましたら、ご連絡・お問い合わせ心よりお待ちしております。今後ともオリヱント化学工業(株)のニグロシンにご期待ください。

結晶化遅延効果について

ポリアミドのような結晶性の熱可塑性樹脂おいて、カーボンブラック、タルク、ガラス繊維などの添加材が結晶核になることは良く知られています。これら物質は造核剤と呼ばれており、結晶性の樹脂が結晶核になるより先に結晶核として存在していることから添加剤を加えていない樹脂より早く結晶成長が始まり、成長点である結晶核が多いことから樹脂が早く固まります。これに対してニグロシンは逆の働きをします。

これは、結晶性の熱可塑性樹脂の結晶核の発生を遅らせ、結晶核の数を減らし、結晶の成長を遅くする等の効果を指しております。これは、ニグロシンにのみ発見されている効果で、我々は『結晶化遅延効果』と呼んでいます。このときの樹脂の溶融温度はニグロシンの添加に関わらず大きな変化はみられません。

 

そもそも、樹脂の結晶とはどのような状態でしょうか?樹脂は単位構造が繰り返してつながることで鎖状になり、これが束となることで樹脂の結晶であるラメラ晶を形成します。さらに、ラメラ晶が枝を伸ばすように成長することで球晶になります。この球晶には、ラメラ晶の部分と非晶部分が存在しており、その比率は樹脂の種類・成長過程・添加物などにより異なります。

樹脂の結晶の概念図

図1. 樹脂の結晶の概念図

ニグロシンの添加量の違いによって球晶の大きさが変化する様子も確認されています。

下の写真では、通常の結晶性樹脂(左)よりも、ニグロシンを添加した樹脂(右)は球晶が大きくなっていることがわかります。

ニグロシンを添加した結晶性樹脂の成長を観察した偏向顕微鏡写真

図2 ニグロシンを添加した結晶性樹脂の成長を観察した偏光顕微鏡写真

球晶の大きさの違いは、耐衝撃性の違いとして現れ、球晶が大きいほど脆性が低くなるため耐衝撃性が増す傾向がみられます。

ここでは耐衝撃性の代わりに引張試験の結果を一例として示します。

無着色樹脂の引張最大点応力[Pa]を1.0としたとき、ニグロシンを添加すると約1.2倍もの引張強度の向上が確認されました。

表2 無着色樹脂に対するカーボンブラックまたはニグロシン着色樹脂の引張強度

無着色樹脂に対するカーボンブラックまたはニグロシン着色樹脂の引張強度

ポリアミド66 (GF 43%)

その他の結晶化遅延効果としては、樹脂の流動性の向上が挙げられます。

結晶性熱可塑性樹脂は、加熱して溶融させた状態で型に流す射出成型やブロー成型などの方法で成形されます。

ニグロシンを添加した樹脂では、溶融状態から固化(結晶化)し始める温度が低下し、さらに固まり始めてから完全に固まるまでの時間が長くなるため、金型に彫られた模様の繊細な凹凸まで樹脂を流し込むことが可能となります。

成形物表面の光沢も増すため意匠性が向上するという特徴もあります。

スパイラルフロー成形による流動性向上の様子

図3.  スパイラルフロー成形による流動性向上の様子

光沢度向上の様子

図4. 光沢度向上の様子

※ニグロシン製品の少量サンプルご希望の方は下記URLよりご購入頂けます。是非、この機会にご利用下さい。

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