紙による「黒」の見え方を染料系と顔料系で追いかけました。
対象製品はWATER BLACK 191-L(染料系)とBONJET BLACK CW-2(顔料系)です。
各濃度を3%とし、普通紙と写真紙にインクジェットプリンターを使用し着色致しました。
普通紙へ着色の場合
下図は普通紙へ着色後の色相と着色面を顕微鏡で観察した図です。
WATER BLACK 191-Lは色相と(a*、b*)の値から、
緑味の黒である事が確認できます。
BONJETBLACK CW-2も同様の条件から、黄味の黒である事が確認できます。
黒色の指標である、L*値とO.D値については、
僅かにBONJET CW-2が高い黒色度を示しますが、
普通紙は塗膜の厚みを制御するパラメーターにより、
大きく左右される可能性がある点を注意しなくてはなりません。
今回、普通紙ではどちらが黒色度が高いのか評価することは難しい結果となりました。
*パラメータとはインクインクの処方や物性、紙の性能、印刷方法を指す。
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WATER BLACK 191-L |
BONJET BLACK CW-2
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染料
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顔料
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色相
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顕微鏡
表面
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顕微鏡
断面
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L*
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33.5
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29.6
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a*
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-1.4
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0.7
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b*
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-1.8
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2.8
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C
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2.3
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2.9
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O.D値
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1.12
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1.20
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写真紙への着色
下図は写真紙へ着色後の色相と着色面を顕微鏡で観察した図です。
WATER BLACK 191-Lは普通紙で見られたような緑味の黒色がみられませんでした。
理由としては印刷物から、
僅かに黄味のブロンズが見られた事が原因だと推測されます。
(a*、b*)値も上記の理由を支持する結果となっています。
BONJET BLACK CW-2は黄味の黒発色となりました。
普通紙の際と比較するとO.D値も上昇しており、
(a*、b*)=0の無彩色に近づくように(a*、b*)値も僅かに変動しています。
WTER BLACK 191-Lの場合は染料である為、
インク吸収層に浸透し吸収層を染色していることが断面の写真から分かります。
BONJET BLACK CW-2の場合は顔料である為、
インク吸収層の内部まで顔料の粒子の影響でが入り込めずに、
表面で蓄積している様子が断面の写真から見られます。
このことから、可視光を吸収できる光吸収層が厚くなることで、
BONJET BLACK CW-2と比較するとWATER BLACK 191-Lの方が、
黒色度の指標であるL*値とO.D値が高くなったと考えられます。
また、WATER BLACK 191-Lは染料であり粒子が存在しないこと、
顕微鏡による表面観察においても、
BONJET BLACK CW-2と比較すると綺麗な印刷表面になっているなど、
光沢値においても圧倒的に高い印刷品質でした。
染料と顔料では、印刷する紙の種類により結果が大きく変わってくるようです。
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WATER BLACK 191-L
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BOMJET BLACK CW-2
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染料
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顔料
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色相
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顕微鏡
表面
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顕微鏡
断面
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L*
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3.0
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18.4
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a*
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0.3
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-0.1
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b*
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2.2
|
0.5
|
C
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2.2
|
0.5
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O.D値
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3.13
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1.71
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光沢値
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3.13→11
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1.71→3
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20°
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