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SOLVENT BLACK 3について
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概要
ソルベントブラック3は、慣用名で「スダンブラックB」と呼ばれている油溶性の黒色ジスアゾ染料である。ケミカルクラス、色目等は下記図1に示す。
ソルベントブラック3は、今から約100年前の1913年にBASF社の文献発表が最初と言われているが詳細内容は不明である。
その後、1934年に脂質染色用染料としてLison氏によって発表。また1952年、Berman氏によってソルベントブラック3の化学構造式が発表された。1960年代に入り産業分野に応用される特許明細書中に記載されるようになり、近年では、工業用インクジェットインク、リボンインキなどに用いられており、産業上重要な黒色染料に位置付けられている。

<図1>

C.I.Generic Name

C.I.Solvent Black 3

C.I.Constitution Number

C.I.26150

Chemical class

Disazo

Shade

Bluish black

IUPAC Name

Sudan blackFat Black HBSolvent BlackC.I.26150


製造方法 及び 特徴
ソルベントブラック3の公知文献による製造方法は、下記図2に示されるように、アニリンをジアゾ成分、ナフチルアミンをカップリング成分とするモノアゾ中間体をジアゾ化し、1,8-ジアミノナフタレンとアセトンを反応して得られる2,2´-ジメチル-2,3-ジヒドロペリミジンにカップリングしてソルベントブラック3は合成される。ソルベントブラック3は、本構造式を含むとされているがこの構造を含む混合物として製造されている。

<図2>


ソルベントブラック3は水に不溶性で、中極性溶媒可溶性の油溶性染料であり、最大吸収波長は596nm~605nmで、色相は青味の黒色を示す。
欠点はAmesテスト(一般に毒性の目安を得るための試験方法として知られている微生物を用いる復帰突然変異試験)において陽性を示すことが最大の欠点と言われています。

 

特許文献から見たソルベントブラック3

<世界最初の特許文献、日本国内最初の特許文献>
ソルベントブラック3に関する特許文献を調査したところ、世界最初の特許文献は、1962年にイギリス特許庁で公開された特許公報にまで遡る。内容は乾式電子写真用トナー材料を調製し得るために、樹脂成分にソルベントブラック3を正帯電荷電制御剤として用いるトナー技術が最初である。
また、日本国内で限定すると、最初に発表された特許文献は、1967年(昭和42年)に富士写真フィルムから出願された、CH2=C<基を有するスチレンやメタアクリル酸エステル等の重合可能な組成物を懸濁重合する際にソルベントブラック3を添加することで、粒子径が極めて小さく、粒度分布の狭い、つまりシャープな粒度分布を持ち、均質透明な重合物が容易に得られる懸濁重合法が報告されている。また、本特許の実施例中にはオリヱント化学工業(株)社製「オイルブラックHBB」を使用して懸濁重合法が行われている。

 

<皮革用途>
その後、1969年のアメリカ特許公報に皮靴補修用途として、「Sudan Deep Black BN」(GAF社)を配合した皮靴補修用インク組成物が発表されている。
1970年代に入ってから、ソルベントブラック3は様々な産業分野で活発に使用が開始される。

 

<潤滑油着色用途>
1970年(昭和45年)に旭硝子社から出願されたフッ素油着色法は、フッ素油(絶縁油、グリース、潤滑油として使用。)に容易に溶解し、1%以下のわずかな量で充分発色可能な染料として、ソルベントブラック3が挙げられており、溶解性、耐久性、液面の測定が容易なフッ素油が開示されている。

 

<スケーリング防止剤用途>
1975年(昭和50年)に信越化学工業から塩化ビニルの重合方法が出願された。これは塩化ビニルを主体とする単量体混合物を重合するに際し、重合機器(反応缶)壁や撹拌装置(撹拌羽、撹拌軸)等に付着する重合体スケール付着防止の効果を得るために、ソルベントブラック3とニグロシンを併用した塗布剤(マーキングペン等)の出願が成されている。

 

<繊維着色用途>
1977年(昭和52年)にユニリーバー社から織物処理用液状調合物(繊維着色用途)が出願された。これは後染め技術としてポリアクリル、ポリアミド及びポリエステル繊維などの着色剤としてソルベントブラック3を用いる実施例が開示されている。

 

<インクジェット用途>
1978年(昭和53年)にキヤノンから出願された(インクジェット)記録媒体液は、ソルベントブラック3の黒色染料に、インク成分の変質が起こりにくく、連続吐出性、安定性を良好にするために安息香酸エステルを配合したインクが開示されている。また、実施例中にはオリヱント化学工業(株)社製「オイルブラックHBB」を使用してインク組成物が調製されている。

 

<疾病検出用途>
その他用途で疾病検出の血清試験を行うのにソルベントブラック3を用いている例もある。これは、1974年(昭和49年)にアメリカンサイアナミッド社から出願された、梅毒やトレポネーマ疾病検出のために血清試験の凝集反応を確認するために、ソルベントブラック3を含有する抗原調製物が開示されている。

当社 オリヱント化学工業(株)特許出願と歴史
当社、オリヱント化学工業株式会社とソルベントブラック3の歴史は、1950年(昭和25年)に「商品名:OIL BLACK HBB」として製造開始したのが始まりである。その後、自社内で鋭意研究を重ねた結果、1980年代後半には、ソルベントブラック3の特異な精製技術を自社で構築し、Amesテスト陰性で安全性に優れ、かつ様々な有機溶媒に対して良好な溶解性データを示す

「商品名:OIL BLACK 860」の製造を開始している。下記図3にOIL BLACK 860の色相データや溶解性データを示す。

商品名

OIL BLACK 860

色相

青みの黒

色相データ

展色濃度
0.5%1%3%
での色の違い
(a*b*プロット図)

 

溶解性データ

エタノール

メチルエチルケトン

PGME

ジアセトン

アルコール

シクロヘキサノン

Trace

>30%

>30%

>30%

>30%

Amesテスト

陰性

                        図3 OIL BLACK 860データ表
                                                 *1-Methoxy-2-propanol


また、当社は知的財産権活動も積極的になされ、ソルベントブラック3と類似構造を有する特許出願が数件なされている。1983年に特定構造の黒色ジスアゾ染料を石油系溶剤および/またはハロゲン化炭化水素に溶解し、用途として石油着色や筆記具用インキに用いられる着色オイル組成物の出願。1988年には、ソルベントブラック3を特定の芳香族炭化水素や石油系炭化水素を使用し精製することで、溶解性向上かつ毒性低下が成された出願を行っている。

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【引用文献】

特公平1-44218 着色オイル組成物

USP3679454 EDGE-INKING OF SHOE  SOLES AND COLORING OF UPPERS

特開昭50-139745 加圧定着トナー

特公昭49-20054 フッ素油の着色法

特公昭47-32419 光学硝子等の内面反射光吸収塗料

GB1029182 TONER FOR ELECTROPHOTOGRAPHIC PURPOSES

特公昭55-25463 記録媒体液

特開昭52-13592 塩化ビニルの重合方法

USP4005022 ELECTROSTATIC LIQUID TONERS

特開昭5053523 抗原調製物

特公昭45-40052 懸濁重合物

特公昭53-14896 織物処理用液状調合物及びその製法

Histchemistry 54,27-37 SOME ASPECTS OF VALUE OF SUDAN BLACK B IN LIPID HISTOCHEMISTRY

Histchemistry 54,237-250 SUDAN BLACK B : CHEMICAL STRUCTURE AND HISTOCHEMISTRY OF THE BLUE MAIN COMPONENTS


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